■ライオネス作・「闇に散った『彼女』」 |
・・・暗い。 彼女は深く、だが重くない所にいた。 なぜここにいるのだろう。 ふと浮かんだ疑問もすぐ闇と消える。 どれくらい経つだろう。 そもそも、『時間』があるのだろうか。 息が詰まるほど静かな空間。 彼女の五感でわかるのはそれだけだった。 「君は?」 そんな彼女に、ふと語りかけるもの。 私・・・? 私は・・・ 語りかけられたことにとまどう彼女。 「わかるかい?」 ・・あれ。 私は・・・あれ・・・? 問いかけに答えようとする彼女。 しかし頭でまとまっても、次の瞬間には霧散してしまう。 「・・・分からないだろうね。 君は今『君』ではないのだから・・・」 語りかけたものは、意味深にそうつぶやく。 私が『私』でない? ・・・どういうこと? つぶやきを聞きとめる彼女。 「いずれわかるよ。いずれ・・・」 だが相手はそれに答えない。 そして次の瞬間には、どこへともなく気配を消す。 思い悩む彼女もまた、深紫にとけていった・・・。 かつて「時を喰らうもの」に翻弄された『少女』。 彼女は今どこに・・・ Fin(?) |
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