■Hoku作・「ジャキ外伝」 |
たしかにヤツらと共に、俺は黒の夢を破壊した。 だが、俺の時代へ戻れば、醜く人間達の前で天使ヅラして浮かんでいる。 ちょっと振り向くだけでもむかつくが、さすがの俺でも一人でこのバカでかいものを壊すなんて、どう考えても無理ということで、歯を食いしばって我慢している。 俺は、ラヴォスの力から逃れた者達の名もない村にギルと名乗って静かに暮らしている。魔物がくることもなく、平凡な村だ。 しかし近頃、妙な噂が村に流れ始めた。黒の夢の弱い魔物達が地上に放り出され、地上でグループを作っているらしい。さらにそれがだんだんエスカレートし、地上の魔物達が国を作っている、ということだ。 そんな緊張の続くある日。俺は爺さんのところへ訪れた。 「爺さん、こんな村があわただしくなるんだったら、俺が魔物達の噂が本当かどうか見ていこうか?村人に武器を持たせたってろくに使えないんじゃしょうがない。」 「すまんのお。できれば持たせたくなかったんじゃが、若者が剣を持ちたいと騒がしかったので、つい…。」 実は、明日から村人の男達が武器を持つことになった。だが、こんな男どもに剣や槍などが使えるかどうか俺は疑っていた。そういうことで、俺が本当にそうなのか確かめることにした。こうして、男達は武器を持つことなく平凡に生活することになったが、顔が少しくらい。 次の日。俺は舟を出した。みんながどんどん小さくなっていた。 「人間だ!血祭りにしよう!キキーッ」 そういうと魔物たちは俺に攻撃した。 俺はアイスガを唱えた。 直接ダメージは与えなかったが、魔物はドミノ倒しのように転げ落ちた。 「命がほしいのなら俺を受け入れろ。」 俺は未だに転げ落ちてもがいてる魔物たちに呟いた。 「ア、アンタ、ただの魔族じゃない…。」 俺を受け入れたガーゴイルは驚いていた。 「フン。俺の強さ思い知ったろ。 突然だが、俺はこの国の王とご挨拶したい。よろしくたのんでいいか?」 俺がわれにかえってそういうと、ガーゴイルはこういった。 「あんた、まさか王を殺すんじゃ…」 「王に挨拶するだけだ。はやく会わせろ、死にたいのか?」 「…わかった。その前にクロウリー様と会う必要がある。」 「そいつにあえばいいのか。」 俺は村の長クロウリー様と会った。 「ほう、貴様かなりの魔力の持ち主。その力なら王をサポートできる。ついてこい。」 そう彼がいうと、俺は城の門までつれられ、 やっとのことで中にはいることができた。 しかし、姉さんが予想通りラヴォスにのまれたことが、ショックでたまらなかった。 そしてこの門の先には、王がいるという。 ドオオオオオオオオオオオオオ (なんだ、この空間は!ここが王の間。こいつただ者じゃないな。接戦になりそうだ…。) 「王様、こやつが王に挨拶したいと言った魔族です。」 「どれどれ、顔をあげてみろ。」 俺は顔をあげた。 王は鳥人のような姿をしていた。 「な?!そなた。ただものではない…!」 「当たり前だ。とにかく俺とあんた一人にしてくれないか?」 「わかった。クロウリーどの、大臣どの悪いが向こうにいってくれ。」 「は。」 「はは〜。」 「これで、俺とあんた二人きりか。」 「フッフッフ、貴様!分かってるんだよ。この私を倒すのだろう?」 「ほう、心を読むことができるのか。ばれちゃしかたがない。」 「フ 久しぶりにうでがなるな!」 俺は、別におそれもせずに微笑んだ。 カチャ 俺は鎌を手にし、王へと向かっていった。 航海の途中、村のある少年について考えていた。 「ギルさんは、強いのぉ? いいなぁ、僕もギルさんのようにつよくなりたいなぁ。 そうそう、ギルさんはイキカワレになったおねいさんを探してるんでしょ? …僕、もう少し大きくなったらギルさんと一緒にイキカワレになったギルさんのおねえさんを探すんだ!」 舟を出す前日、こんなことを俺に言った。 ああ、確かあの子はアルファドを飼っていたな。幸せそうだな。 俺は噂を確かめに言った理由は、 「男どもが使えないから」 だけではなく、 「姉さんがいるかもしれないから」 「姉さんについて情報を知れるかもしれないから」 ということもある。 …ん、見えてきた。確か…。 「西の島にいるらしいんですって。」 「まあ!ここから少し近いじゃない。」 やはりここが…。 「う、なんだこの感じは…。魔王城が生きた感じだ…。」 島に入ればザクザクの自分の足が地面にまんべんなく散らばっている動物の骨の音がザクザクと耳に響く。 そこで俺は浮かんで島を確認することにした。気づけばコウモリが俺を気に入ったようにどんどんついてくる。 「魔族のにおいがまだ残ってたか…。ん?!」 俺の目に入ったのは、黒の夢の破片で作ったような4階建ての城。そして、弱いモンスター達の暮らす村。 とりあえず、俺は持ってきた大きなマントで身を隠し城へ急いだ。しかし、その途中一匹のガーゴイルが俺に話しかけてきた。 「おい、キサマ。この村に何のようだ。見たところ魔族のようだが。」 俺は本来すべきことを忘れ、姉さんのことを聞いてしまった。 「サラ王女はどこにいったか知ってるか?用があるのだが。」 「ああ、ヤツはラヴォスに飲み込まれたよ。」 「やはりそうか、ありがとう。」 「しかし、なぜそのようなマントを?」 「フン、人間どもと区別のつかない俺の顔なんかだれが信用する。」 俺はこういってごまかした。まあ、べつにごまかさなくても平気だったがな。 「ま、いいじゃねえか。」 「わかった。キサマが言ったとおりにしよう。」 俺はマスクを取り外した。 すると、ついさっきまでおとなしかった魔物がこっちへ押し寄せてきた。 王は俺に対して何も抵抗せず、大ダメージくらった…かのように見えた。 「何?!」 気づけば王はいない。と、俺は黒き風がふくのを感じた。 その時だった。王がいた! 俺の真上から魔法をうった。 「ファイガ!」 「マジックバリア!」 危なかった。黒き風を感じなければ いまさらもえつきていたかもしれなかった。 「ふん。なかなかやるな。さすが魔の王と名乗るもの。」 「貴様もなかなかの力を持っているな。 さすだ。…しかし、今のはちょっとした改めたご挨拶のようなものだ。本番はここからだ!」 王はそういうと、高く舞い上がり、 閉じていた翼を大きく広げ地上へ振動を揺らした。 「それじゃあこちらも本気を見せるぞ。」 俺がそういうと、黒き風がタイミングよく流れてきた。 「サンダガ!」 俺と王は同時にサンダガをうった。 「いい忘れていたが、わしの名はエビルフェニックス!死ぬ前に覚えておけい!」 「強いヅラかぶるな。貴様は俺に倒される。こちらも言い忘れていたが、俺はれっきとした人間だ。 だが、ただの人間ではない。死ぬ前に覚えていろ。」 「ただの人間であろうがなかろうが、わしに勝てないことにかわりはない!死ね!人間!」 彼がそういった約30秒後、サンダガの相打ちは終わった。 「ち、だめか!」 「そう簡単にわしを見るな!人間ごときに負ける気はせんぞ!」 「ほう、俺も魔族ごときに負ける気はしないな。…貴様と戦っているのがバカらしくなってきた。 これで終わらせてやる!ダークマター!」 「ふん、本当にそのような口をたたいてよかったのか教えてやるよ!くらえ!反作用ボム3!」 俺がダークマターを使ったのに対し、 エビルフェニックスは右手にフレア、左手にアイスガを発動して反作用ボム3を作り出した。 はげしい相打ちが続く…。 「ぬおおおおおおおおおおおお!」 「ぐおおおおおおおおおおおお!」 その時!魔法は、爆発した! 「ギルさん。ギルさんおきてぇ。」 「…ん、俺は!」 「はぁ、よっかたわ。ギルさん元気で。」 俺は、村のあの少年とその母親の家で寝ていた。俺は起き上がった。 すると、アルファドが俺のところへやってきた。 俺は思わず抱きかかえた。そして、笑顔を作った。外へでると、外が眩しく見えた。 数秒して目をならすといっせいに歓声と拍手が耳に響いた。 「ギルさん!万歳!」 「万歳」 「BANZAI!(B'z?)」 「なんだ、朝からうるさいぞ。そういや、あの魔物の王はどうなった?」 「何寝ぼけているんですか!倒したじゃないですか!」 「そうか。よかった。」 俺はかすかに微笑んだ。 ほかの魔物達は何匹かは海に逃げ込み、ほかはみんなあのときの魔法で消滅したらしい。 ちなみに魔法はまるで、巨大な光に見えたのだと村人は言っていた。 見えなかったら村人は俺を二度と帰らぬ人とみなしてたろうな。 姉さんの言葉を聞いてショックではあったが、久々にとても嬉しい感じになった。 それは、俺にとって一番嫌で、一番いい思い出になった。 姉さん… 絶対に俺は姉さんと会う。 会えたら、この村でいっしょにすごそう。 魔法も強さも必要のないこの村で。 Fin |
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