クロノプロジェクト正式連載版シーズン2
第97話「闇」(CPss2第13話)
チリチリ。
クロノの持つたいまつの明かりが辺りを照らす。
道にある明かりはたいまつの明かりのみ。
5番目に出発したクロノ達の前方には、既に気配はなく、どうやら奥深く先に進んでいるらしい。また、途中幾つかの分岐点が有った事から、それらのどこかへと分かれたのだろう。
後方から来るチームも、どこかで分かれたのか既に迫る気配もない。…迷路の様に入り組んだこの試験場は全てのチームを飲み込み、何処へ導くというのだろう………?
クロノが後方を歩くミネルバに問いかけた。
「なぁ、ミネルバさん、これからどうしたら良いんだ?…宝探しはわかるが、こう手がかりが無いと、さっぱりわかんねー。」
彼の問いかけはミネルバの隣を歩くシズクも感じていたことだった。彼女もミネルバの方を向いた。ミネルバは微笑んで前方を見据えて歩きながら答える。
「この迷路は私もクリアした事は無いわ。でも、途中までなら。今向かっているのは水の呪印の間よ。」
「水の呪印の間?」
「基本的には、呪印の間には呪印を護るモンスターがいるわ。この試験ではそれらのモンスターに勝たなくてはダメなの。さもなければ呪印は得られず、そしてクリアも不可能になってしまう。」
「強いのか?」
彼女はその言葉に初めて振り向くと答えた。
「…そうね。強いかもしれない。でも、私達なら大丈夫よ。自信を持って。」
彼女はそういうと二人を先導した。
しかし、その時急に光が弱くなり始めた。
クロノが慌ててたいまつを見ると、火の勢いがどんどん弱くなり始めた。
「任せて。」
シズクはそういうと、たいまつに向けてファイアを放った。
だが、炎は強くなるどころか一層弱くなり、遂に消えてしまった。
炎が消えた事で、3人は互いの姿を完全に見失ってしまった。
「ちょ、みんな慌てないでね。今明かりを出すから。」
シズクが再びファイアを小さく出してお互いの姿を確認すると、クロノの持つたいまつに火を灯そうとした。だが、火はつかず、完全に燃料が尽きているようだった。
困惑してミネルバに尋ねる。
「どうしたら良いの?このままじゃ真っ暗じゃない。」
ミネルバはシズクの言葉に微笑んで言った。
「フフ、なら目を慣らすだけよ。さぁ、消して。」
「え…」
ミネルバはそういうと、そっとシズクの指を手で覆った。すると、彼女の手から冷気の風が立ち込めて、彼女の炎は静かに消えてしまった。
「どうして?」
「この試験はこれが狙いなのよ。」
「え…」
二人は彼女の言葉に驚いて言葉を失った。
彼女は続ける。
「みんな、良く思い出して?この試験が何のために行われているかを。」
彼女の言葉にいち早く反応したのはシズクだった。
「…魔力。そうか、魔力を探るのね。」
「正解。」
ミネルバが優しく答える。
そこにクロノが尋ねる。
「んじゃ、このたいまつどうすりゃ良いんだ?もう要らないなら、放置しても良いのか?」
「あ、それはそうね。ガス欠だし、壁の隅にでも邪魔にならない様に置いておけば問題ないはずよ。」
「そうか。なら…、」
クロノは道の側壁にそっとたいまつを寝かせ置いた。
「よし!んじゃ、ぼちぼちサーチするか!どれどれ、おーいるいる!魔力を探るとごっそりわかるんだな。」
「えー、もう慣れたの?…つまんないわ。」
ミネルバの言葉に3人はお互いにくすくすと笑うと、闇の中を再び力強く歩き始めた。
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